2000.3.31号 06:00配信


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さよママのひよっこ育児日記

アトピーちゃん



 うちの娘は、アトピーっ子だ。生後すぐから顔に湿疹が出て、以来つるつるほっぺとは全く無縁。2歳を過ぎた今でも、顔や肘と膝の内側などがカサカサ。弱い軟膏で何とか抑えながら、冬の乾燥する空気と闘っている。
 自分の娘がアトピー。その現実を、私はなかなか受け入れる事ができなかった。妊娠中は食事に充分気を付けたし、絶対に元気で玉のような素肌の赤ちゃんが生まれると信じていた。それなのに…。
 生後半年頃からどんどん悪い状態になっていった娘の肌。恥ずかしい話だが、私は何だか裏切られたような思いでいっぱいだった。あちこち掻きむしろうとする娘の手を無理矢理止めたり、かゆくてぐずる姿にイライラして声を荒げたり…。何より辛いのは娘本人、それは充分わかっているつもりだった。でも私の心はささくれ立って、どうにも止められなかった。
 このままではいけないと、私は自分の周りに救いを求め始めた。まず同じように子供がアトピーだったという複数の知人に話を聞いた。皆親身になって話を聞いてくれ、本を送ってくれたり当時の日記を見せてくれたりした。「大丈夫、アトピーでは死なないよ。」この言葉は今でも私の支えになっている。
 薬を使うことにはずっと抵抗があり、医者にも行かずじまいだったけど、やはり一度きちんと診断してもらおうと思い切って出かけた。最初の病院は忙しくて先生とじっくり話ができなかった。次に訪れたのは某アレルギー専門医。娘の顔を見ただけで中程度のアトピーと診断し、身体は診もしない。帰りには山のような薬が処方された。納得のいく治療をしてくれる先生に巡り会えたのは、その後だった。
 旭川の閑静な住宅街にある個人病院。T先生は娘の全身をしっかり診てこう言った。「大丈夫。深刻になることはないですよ。」処方された薬も、必要最低限の物。やっと頼れる所ができた…。そう思えば月一回、バスで片道3時間かけて通うのも苦にならなかった。
 今では通院することもない。娘の場合アレルギーの原因がはっきりしないので厄介だが、無添加の食材を選ぶとか合成洗剤は使わないなど、生活全般に気を配ることで何とか乗り切っている。時折ひどくかゆがることもあるが、それ以外はちょっぴりほっぺがカサカサ赤い女の子、といった所だ。
 先日、ある知人が娘をこう呼んだ。「アトピーちゃん。」意外にもあっさりと聞き流すことができた。以前の私なら眉を吊り上げてその人をにらんでいたかもしれない。我が子のアトピーをきちんと受け止め、ゆっくり付き合っていこう…私もようやく腹を据えたということか。


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