2001.3.11号 07:00配信
こんにちは皆さん。白熊です。前号の続きをアップいたします。 3 気道確保(A) 頭部後屈−顎先挙上法が外傷患者以外での第一選択となり、非医療従事者への教育に用いられている。 **医療従事者は下顎挙上法も習熟すべきである。 (今までは非医療従事者にも指導してきた。) **気道異物に関して 何かを食べているときや、遊んでいる小児が、突然しゃべらなくなりチアノーゼ(唇が暗紫色)が出現したら、上気道の異物閉塞(誤嚥)をまず疑い、意識があれば咳をさせ続け、ハイムリック法を行い、吐き出させる。しかし意識がない場合は、直ちにCPRを施行する。心マッサージの胸の圧迫はハイムリック法と同等の効果がある。従って既に意識が消失していたらハイムリック法はしてはならない。 4**人工呼吸(B) 自発呼吸を確認し、無ければ口対口呼気吹き込み式人工呼吸を、ゆっくり(2秒位)胸が持ち上がるのを確認しながら行う。速すぎると胃に呼気を流入させることになり、胃が膨満し、その内容物が逆流して気道異物となったり、肺への誤嚥性肺炎の原因となるので注意する。 呼気吹き込み量の理想は10ml/kg(成人で700〜1000ml)で、小児に対する口対鼻や、口対口鼻も認められ、感染予防上からポケットマスクなどの携帯用マスクや、一方弁付きのフェイスシールドも推奨された。医療従事者はバック・マスク人工呼吸(酸素使用時は一回換気量を6〜7ml/kg:成人で400〜600ml)を習得すべきとされた。(以前よりバック・マスクは熟練を要するので、医療従事者にもポケットマスクは推奨されていた。) 5**閉胸式胸骨圧迫心臓マッサージ(C) A・Bの気道確保・人工呼吸との関連で、口対口人工呼吸がためらわれる状況(顔面骨折・口周囲の出血・感染症の既知など)においては、気道を確保するが、人工呼吸の省略が許容され、電話などでリアルタイムにCPRを指導する場合は、心マッサージだけを指導することが勧告された。 また、短時間での頸動脈触知ならびに拍動の確認が医療従事者にとっても容易でなく、非医療従事者(一般市民)には教育指導は行わないことも、勧告された。 これらはいち早く、十分な回数の心マッサージを施行するための対応のもとに改訂されたものです。また心マッサージを施行する部位は胸骨の下1/3(胸骨下端3横指上方)と定められていたが、非医療従事者の指導には胸骨上で左右の乳頭を結ぶ線上と簡略してもよいとされた。圧迫回数も100回/分とされた。人工呼吸との割合も15:2に統一された。(以前は救護者1人と2人で、15:2と5:1とにわかれていた。)尚、気管内挿管後は5:1とされた。 早期の対応が救命率を高く出来る可能性の強い、心室細動に対して、自動体外電気的除細動器(心電図診断機能付き)が、講習を受けた非医療従事者でも使用出来ることになり、パトカー(事故現場に一番先に到着する)や旅客機内・旅客船内・空港や競技場(スポーツ・イベント等大勢が集まるところ)に常備することが強く勧告された。(ただ現状では我が国においては法的に対応が不可能である。) 今回の改訂は、BLSにおいても指導内容を、非医療従事者と医療従事者にわけており、いつでも・誰でも有効なBLSが、より効果的に行えるように改訂されています。 最後に、講習会で覚えたことは約2週間程で忘れ始め、1〜2年後には自信がなくなってきますので、数多くの方がそれぞれに数多く受講されますことをお願いいたします。 日本版の改訂版が出ましたら改めてお知らせします。 もし現場に遭遇したら積極的にBLSを行って下さい。 今回の改訂とは別に119番通報に関して、 通報時には誰でもあわてるものですが、住所や名前を言い忘れることが時々あるそうです。 通報して電話を切らないと救急車の発動されないと思い込み早口で言ったり、通報した消防本部の確認に返事をしないであわてて切る方がいらっしゃいます。 電話はつながったままで救急車は発動しますし、もし通報者と急病人が電話のそばや救助者が複数いて電話のある位置から声が届くなら、そのまま電話で救急処置の指導ができます。 実際CPR講習会の受講はしたものの、CPRに自信のなかった方が、電話口の人工呼吸・心マッサージのかけ声に助けられ、無事に救急隊に引継ぎ救命出来たことなど、何度となくその効果は実証されています。 最近では屋外でも、携帯電話の普及にて、通報までの時間短縮が認められます。但し、ここで注意しておきたいのは、携帯からの119番は、通報した地域(都道府県)によって、つながる消防本部が異なる場合があり、受信した消防本部が、家庭の電話と異なり各地域の代表消防本部で、その代表消防本部から、救助に一番近い所轄消防本部へ、転送されることになりますが、転送中に携帯を切ったり、現場住所を都道府県名から伝えずに混乱することが起こっているそうです。 (県境に近いと隣の県の代表消防本部へつながることがあります。) 携帯電話の場合は、必ずしも通報現場の所轄消防本部につながるとは限らないので、十分確認して、もし転送中なら切らないで下さい。さらに携帯番号も伝えておくと屋外で現場が、わかりずらいときには救急隊からの連絡で発見しやすくなります。 以上この項を終わります。 |
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